森 康次 作 附下
渡辺雪三郎(わたなべゆきさぶろう)
渡辺雪三郎(わたなべゆきさぶろう)
服飾デザイナー
1949年2月、東京・深川は老舗の鰻家「宮川」の主人・渡辺輝太郎の三男として生まれ、幼少より絵筆に親しむ。祖父は江戸文学の研究家として著名な宮川曼魚(本名・渡辺兼次郎)。また兄は神秘学者であるルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ。
1972年、23歳にして自身のオリジナル・プレタポルテの店「ミッチ」を東京・目白に開設。同時に婦人服プレタポルテ「ミッチ・渡辺雪三郎・ヌーヴェルクチュール」ブランドを設立。
若くしてデザイナーとしての才能を認められ多様な分野で作品制作を行い、以来、その固有なデザイン感覚と科学的理論に裏打ちされた独自の造型を確立し、厳選された素材、高度のカッティング、裁縫技術を駆使したコスチュームデザインを発表している。
その創作理念である「美は何にも侵されずただ無邪気に存在する」を基盤とした「ヌーヴェル・エレガンス」を提唱し、シーズン毎に発表する作品は上品で優雅なコスチュームを作るオートクチュリエとして高い支持を受けている。
また近年は、着物・靴・宝飾品・時計・自転車のデザインなど幅広い分野でのデザイン活動を行い、併せて秀でた文章感覚を活かした美に対する哲学論を新聞、雑誌、或いは著書のなかに著し、人間を取り巻くすべての環境をひとつのモードとしてとらえ、独自の美を社会に伝播している。